分布屈折率レンズとは?
特殊なレンズとして,分布屈折率レンズがあります。通常光は,均一な媒質の中では直進しますが,媒質が一様ではなく屈折率が場所によって変化している場合は,屈折率の高い方へ曲がるという性質があります。これを利用したのが分布屈折率レンズで,屈折率分布レンズまたはGRINレンズともよばれます。下図に示すものは,半径方向に屈折率が変化するタイプの分布屈折率レンズ(ラジアル型分布屈折率レンズ)で,レンズ中心部分の屈折率が高く周辺にいくにしたがって低くなっています。この場合,凸または凹形状をしていなくても,レンズ内部の屈折率勾配によってレンズ作用が生じます。分布屈折率レンズは,その特性を活かして微小なレンズとして用いられることがあります。蜃気楼や逃げ水などの自然現象も同様の屈折率分布作用によって起きます。